日本受精着床学会に参加しました…その2

日本受精着床学会に参加しました…その2

こんにちは、胚培養士の新田です。

先日、米子で行われた第35回 日本受精着床学会総会・学術講演会に参加してきました。
不妊治療をされている患者様の生活習慣について、皆様にもご自身で取り入れることができそうな発表がありましたので紹介させていただきたいと思います。

近年では女性がフルタイムで働きに出ることは珍しいことではありません。当院を受診されている患者様も仕事をもたれている方が沢山いらっしゃいます。
女性が仕事を持つということは、社会的地位を確立する一方、晩婚に向かいやすく、その結果として妊娠出産を遅らせたり、女性が社会的ストレスにさらされやすくなるということでもあり、妊娠しにくい要因になり得ます。

今回は睡眠の質が受精率に影響をするという口演発表がありました。
睡眠には疲労の回復を促し、自律神経やホルモンバランスを整える役割があり、睡眠の大切さは周知の事実だと思います。ですが、就寝前にやりがちな行動、飲酒、PCやスマホの操作、また冷えや血行不良、不安やストレスなども睡眠の質を低下させる大きな要因になっています。

この発表では睡眠障害の程度を3群に分け、受精率、胚盤胞率、良好胚盤胞率を検討するというもので、結果として、受精率は睡眠の質に伴い有意に上昇し、胚盤胞率、良好胚盤胞率は上昇傾向にあるというものでした。
この検討には男性側の睡眠の質は含まれていなかったのですが、女性側だけの検討だとしても睡眠がいかに妊孕性に影響するかということを示唆する内容でした。

忙しい中で時間確保のために睡眠時間を削りがちですが、採卵周期にはできる限り睡眠時間を確保し、睡眠の質を上げていただくことで、もしかしたらこれまでよりもご自身の力で受精率を上げることができるかもしれません。