日本受精着床学会に参加しました…その2

日本受精着床学会に参加しました…その2

こんにちは。検査部の川口です。

先日、軽井沢で開催されました第34回日本受精着床学会・総会・学術講演会に行ってきました。
様々な講演がありましたが、「凍結融解胚盤胞におけるassisted hatching(AHA)の有用性および方法の検討について」という講演に特に興味を持ったのでご紹介します。

胚や胚盤胞において着床を助ける方法として透明帯(卵の殻)を薄くするアシステッドハッチング:assisted hatching(AHA)があります。透明帯を薄くすることにより、ハッチング(透明帯から胚盤胞の細胞が脱出すること)が起こりやすくなり、着床しやすくなるという技術です。
AHAは発育の遅い胚盤胞やグレードの良くない胚盤胞のみに行うという施設もあるようですが、発表では良好胚盤胞のAHAの有用性を話していました。

3BB以上の良好胚盤胞を対象としてAHAの程度により、透明帯の一部に切り込みを入れた群、AHA非施行群に分類しました。
結果、透明帯の一部に切り込みを入れた群ではAHA非施行群に比べると脱出率は有意に高かったとのことです。

また胚盤胞の発育速度別に見てもの脱出率は透明帯の一部に切り込みを入れた群が有意に高い結果となったとのことです。凍結作業の影響で温度が低下し透明帯の硬化、酵素反応の低下、それによって孵化に影響する可能性があるとの報告もあります。

以上のことから、融解胚移植の際にはAHAが有用であると考えられます。
当院でもAHAを行っており、妊娠率をより向上させるため、AHAの方法(位置、時期など)の検討を行っています。