日本受精着床学会に参加しました

日本受精着床学会に参加しました

こんにちは。培養士の石川です。

先日軽井沢で開催された第34回受精着床学会に参加してきました。
この学会では精子に着目した演題が多かったように感じられました。その中でも特に私が興味をもったのは、水素分子処理による精子の活性化に関する演題です。

射精精液内に全く精子がいない無精子症や、精液をとることができない勃起不全(ED)の患者様にはTESE-ICSI (精巣内精子回収術-顕微授精)を行います。
このTESE-ICSIという方法は精巣内の精細管とよばれる小さな組織を採取し精子を回収し、顕微授精(ICSI)する方法です。この方法で得られた精子の中から運動性の高い精子を見つけるのは難しく、時間もかかります。

そこで運動性の高い精子を得るために、従来テオフィリンやミオイノシトール等の薬剤を用いて不動精子を活性化していました。
しかし、顕微授精の際に注入した精子と一緒に薬剤が卵子に混入することによる受精や胚発育への影響が懸念されています。

そこで注目されたのが水素分子です。水素分子は副作用が極めて少なく、細胞毒性の高い活性酸素種を選択的に還元することにより運動性の高い精子を得ることができます。
水素分子の効果を検証する実験でも従来の薬剤に比べ有用性が高いという結果だったとのことです。
この演題では受精や胚発育に関する報告はなったので、今後そういった点にも注目していきたいです。