IVFの刺激法の個別化するためにどの卵巣予備力マーカーを使うか

IVFの刺激法の個別化するためにどの卵巣予備力マーカーを使うか

医師の船曳美也子です。

今日の論文は、
Individualization of controlled ovarian stimulation in IVF using ovarian reserve markers:from theory to practice Antonio La Marca: Human Reprodution Updates, vol.20,No.1 pp.124-140,2014です。

IVFにおける卵巣刺激で、できるだけ避けたいのは、poor responseとhyper response

つまり、刺激しても発育卵胞数が3個以下か、16個以上になってしまうか、です。どちらも海外ではキャンセルの可能性がでてしまうためです。2回目以降であれば、前回の結果を参考に、刺激法を変えることができます。問題となる初回の刺激法を決定するマーカーについて、過去350本の論文を検証しています。

刺激法はGnRH antagonistまたはGnRH agonist longと FSHとのコンビネーションでした。マーカーはage, AMH, AFC(antral follicle count), day3 FSHがあり、その4つをどう組み合わせると最も良いか、試行錯誤しています。
面白いなと思ったのは、age, AMH, day3 FSHの組み合わせで初回投与のFSH量を細かく設定するというもの。日本人でのAMHの基準値をそのまま当てはめてよいかという問題や、そもそも日本では、agingによるpoor respondorに対しGnRHantagonistかmild stimulationかという選択なので、なかなか今回の論文を生かすのは難しいかもしれません。が、1人1人にあった刺激を適切に選ぶべく、今後も努力していきたいと思います。

ちなみに、AMHの測定基準値は4種類あります。

  • 以前使用していた単位がpmol/lのもの、
  • IBC assay  単位はng/ml 
  • DSL assay  単位はng/ml
  • 新しい Generation ⅡELISA assay 単位はng/ml

それぞれ、 1ng/ml=7.143pmol/l で
IBC assay値=1.39×DSL assay値
Generation ⅡELISA assay値 =IBC assay値
です。
測定用抗体が世界基準の一種類ではないので、統計比較する時は注意しなければいけません。
当院は、Generation Ⅱ ElISA assayを使用しています。