ヨーロッパ不妊学会(ESHRE)に参加しました

ヨーロッパ不妊学会(ESHRE)に参加しました

培養士の吉川です。

先日、ロンドンで開催されたヨーロッパ不妊学会(ESHRE)に参加してきました。

培養液の組成など基本的なものからPGD(着床前診断)まで、幅広い内容で発表していました。

国際学会では発表だけでなく、生殖補助医療に関する様々な道具や培養液を販売している業者のブースがあり、皆新商品を売り込もうと丁寧に解説していました。

その中で一番印象的だったのが、オーストラリアのメーカーが最近販売を開始した全自動の胚凍結器です。

コンタクトケースのような容器の底に卵を入れ、その上に少量の培養液を加え、凍結液の注入、凍結操作もすべて機械がやってくれるという代物です。

卵を移動し、凍結するという繊細な作業を機械なんかにできるのだろうかと疑問に思いましたが、融解した時の胚の生存率は一般的なクライオトップを用いた凍結法とほとんど変わらないそうです。

しかし毎日卵を扱っている培養士からすると、受精、分割、凍結、融解、移植まで卵は常に目の届く範囲で見守っていたいので、中身の見えない機械式はすごく怖く感じました。
日々進歩する生殖補助医療の分野で、ARTへの機械の導入は避けられない流れかもしれませんが、やはりヒトの手で1個1個扱う技術を大事にしていきたいと思います。