OHSSとなったPCOS症例

OHSSとなったPCOS症例

医師の多田佳宏です。

先日、内分泌関係の研究会で「18mm以上の卵胞が1つにも関わらず、OHSSとなったPCOS症例 」の演題で発表してきました。ここ一月の間に3回目になります。

前回もOHSSについて発表してきたのですが、今回は、タイミング療法でご妊娠され、その後、卵巣が腫大し入院が長期になったため、症例報告をさせていただきました。

PCOSとは多嚢胞性卵巣という疾病のひとつで、卵胞が育ちにくく排卵障害を起こす病気です。
治療は卵巣を刺激して卵胞を育てるのですが、その際に、通常の場合に比べ多くの卵胞育ち、OHSSという病気になることがあります。

OHSSは前回の記事で説明した卵巣過剰刺激症候群のことです。

一般には16mm以上の卵胞が4個以上あれば、その周期はキャンセルすることが望ましいのですが、今回は小卵胞をみとめたものの、16mm以上の卵胞はひとつであったため、タイミングととっていただき、ご妊娠されました。(ちなみに、当院でのキャンセル基準は多胎の社会的影響をふまえて、15mm以上の卵胞が3個以上認める場合にしています。)

ところが、その後、妊娠によるHCGの刺激でさらに卵巣が腫大し、腹痛が長期にわたり出現し入院となりました。

体外受精までステップアップせずに、妊娠されたことはよいこととは思うのですが、その後の長期にわたる痛みや入院生活を考えると、PCOSで卵胞発育のコントロールが難しい場合はキャンセルするか、採卵して体外受精を行ったほうが、より良いのではないかと考えさせられました。