制度

制度

理事長の中村嘉孝です。

オリンパスが話題ですが、当院でも体外受精関係の色々な種類の顕微鏡をはじめ、手術用の腹腔鏡(ラパロスコープ)や子宮鏡(レゼクトスコープ)、検査用の子宮ファイバースコープなど、オリンパスの製品を数多く使っています。

先日、ある経営関係の勉強会でオリンパスの件が取り上げられ、著名な経営学者である加護野忠男先生が、次のように言われました。

「こんな事件がおこると、すぐに『内部統制をもっと』とか、『社外取締役を入れろ』とかいう意見が出るけれど、これほどまで制度を作ってきても、オリンパスや大王製紙のような事がおきたわけだから、もう、制度のことを言うのは、やめるべきだ」

私も、なるほどそうだと、思いました。医療でも、事故や不祥事があると、すぐに「制度をつくれ」という声がマスコミに登場します。
それを受けて、さまざまな委員会の設置や報告が義務付けられるわけですが、実際のところ、「これ以上、非生産的なことに時間と労力を使わせない欲しい」というのが現場の正直な心情です。

まともな医療者であれば、当然、患者によかれと考えないはずはありません。
一方で残念ながら、事故や不祥事を100%防ぐことも不可能です。
その中で、なんとか最適なバランスを保ちつつ、個々の医療機関、個々人の医療者が、自らの見識でより一層の理想を求めるだけのことだと思います。
制度の形式主義は、そのような志を損なうとさえ、私は思います。

さて、オリンパスは数ある医療機器メーカーの中でも、値引きをしないので有名な会社で、絶対に価格交渉に応じません。特に内視鏡の分野では圧倒的なシェアを誇っているので、自信があるのでしょう。
ところがある時、営業マンが、「今回は、○○%までお値引きできますよ」と言います。

おどろいて訳をきくと、「今なら、社内のキャンペーン制度が使えるんですよ」とのこと。
他の制度はともかく、値引きキャンペーンとか、そういう制度は、是非、しっかり作っていただきたい。
そう、強く思う次第です。