尖圭コンジローマの治療

尖圭コンジローマの治療

医師の多田佳宏です。

尖圭コンジローマの続きです。

以前、尖圭コンジローマは再発がありますとお伝えしましたが、STI(性関連感染症)のため、セックスパートーナーが罹患していれば、パートナーの治療も必要となります。最近は医療界にもガイドラインがたくさん存在しています。

産婦人科診療ガイドライン、婦人科外来編2011によれば、尖圭コンジローマの治療は、ベセルナクリームで治療するが(B)で、冷凍凝固や外科的治療が(C)となっています。

ガイドラインは3年ごとに改定されるのですが、一般的な評価基準で
(A)は実施することを強く勧める。
(B)は実施することを勧める。
(C)実施する対象になる、考慮する。
とのことです。

尖圭コンジローマの治療には今のところ(A)はないので、当院では患者さんと相談して、塗り薬にするか、電気焼灼にするか決めています。

ベセルナクリームは再発が少なく、第一選択薬ですが、くすりの作用が強く、就寝前に患部に塗布をすることと、翌日、起床後に患部を洗い流すことを週3回、数週間続ける必要があります。
また、腟内など直視できない場所には使えません。
電気焼灼による治療は、多くは1回の治療で終わりますが、25%程度の再発があります。経験はありませんが、手術のあと、瘢痕などの後遺症を残す可能性もないわけではありません。

なかなか、副作用なく、すぐに効果があって、再発もないという薬は存在しないものです。
そういう意味では、医療にすべて任せて診てもらうというよりも、まずは、自身で行える体調管理等が大切なのでしょう。

あと余談になりますが、不妊治療に関する主たる学会の1つに、昔、日本不妊学会がありました。
当時は「新しい生殖医療技術のガイドライン」が発行されていました。
現在学会は他の学会と合わさり、日本生殖医学会となり、「生殖医療ガイドブック」が発行されています。
簡単に説明すると「ガイドライン」が「ガイドブック」になったということです。
ことの経緯はよくわかりませんが、生殖医療には不確定な部分が多いこともあるのではないかと思います。

そのようなことをよく考えたりしますが、新しい命のために一緒に不妊治療をしていきたいと思っています。