子宮頸がんワクチンと尖圭コンジローマ

子宮頸がんワクチンと尖圭コンジローマ

医師の多田佳宏です。

前回に引き続いて、子宮頸がんワクチンの話題から。

サーバリックスとガーダシルは尖圭コンジローマ感染に対する予防作用あるなしの違いがあります。そもそも、子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウィルス(HPV)の仲間は100種類以上知られており、その中でも主に子宮頸がんの原因となるものをハイリスク群としています。
その中には、HPV16、18型などが含まれます。
尖圭コンジローマを起こすものは低リスク群に入り6、11型などがあります。

ところで、尖圭コンジローマとはどんな病気という話になるのですが、簡単に言うと、外陰部、 腟 、子宮腟部(腟の奥)、肛門、陰茎 などにできる疣です。
表皮(皮膚のもっとも浅い部分)の細胞の異常のため、カリフラワー状もしくは鶏冠状の疣ができます。
「尖圭」の名前でわかるようにとがった感じ、ざらざらした感じがあります。これは、性関連感染症(STI)の一つですが、治療を行っても再発を繰り返すことがあります。
まれですが、妊婦が尖圭コンジローマにかかった際に、母児感染をおこし、出生児の呼吸器感染症(再発性呼吸器乳頭腫症)を発症することがあります。

ガーダシルがよいかサーバリックスがよいかは、今のところは甲乙つけがたいところです。
1つしかないと悩まないのですが、2つあると悩みます。

今までの話を参考にワクチンを選んでください。どちらも、十分に効果は示されています。
また、不妊治療中に子宮頸部の異常が発見されると、治療が中断させ、焦ることもあります。
将来的に9価ワクチン(さらに多くのHPV に効果が期待されるもの)が開発中だそうです。

参考文献
川名尚:日産婦医会会報、尖圭コンジローマの診断と治療、平成18年12月1日号、10-11、
吉川裕之:子宮頸部HPV感染症の疫学研究 とワクチン予防、感染症学会誌、第82巻、第6号、609-612
MSD株式会社:ガーダシル説明資料