「天然ウナギ」の卵

「天然ウナギ」の卵

理事長の中村嘉孝です。

「天然ウナギ」の卵を研究グループが発見、これまで誰も見たことがなく、世界初の快挙だそうです。

ウナギはマリアナ海溝まで出かけて行って産卵するそうで、マリアナ海溝の近くで平均直径1.6ミリの卵31個を採取し、遺伝子鑑定でニホンウナギと確認されたとのこと。卵は一日ほどで稚魚になってしまうので、見つけるのは至難の技だそうです。
ウナギは魚類ですから、もともと体外受精で、「卵」というのは受精卵のことでしょう。

このニュースを見て、昔、エジンバラ大学で未成熟卵の体外培養(IVM)のセミナーを受けたときのことを思い出しました。

世界各地から来ている参加者たちと、近くのアフリカ料理店に昼食に出かけました。
生物系の研究者が大半だったので、「自分はサルで体外受精しているが難しい」とか、「ヒツジの体外受精はこうやってする」とか言い合っていたのですが、中の一人が「自分の友人はクジラの体外受精を研究しているけど…」と言い出し、一体どうやって採卵するのか、採卵しても、どうやって胚移植するのか、皆で大笑いしました。

しかし、研究者の忍耐力というか、執念というか、驚くべきものがあり、このような研究者の積み重ねの上に、医学、医療が成り立っています。

ところで記事の最後に、こんな記述がありました。

「古代ギリシャの哲学者・アリストテレスが『ウナギは泥の中から自然発生する』と書き残すなど、2000年以上にわたるウナギの卵の謎に終止符が打たれました。」

前半は面白い薀蓄ですけど、「ウナギの卵の謎」については、養殖ウナギもいることですし、ずっと前に終止符が打たれていると思うのですが…。