プロゲステロン値と妊娠率

プロゲステロン値と妊娠率

医師の田口早桐です。

GnRHantagonistを使用した体外受精周期で、採卵時のプロゲステロン値が高いと妊娠率が下がるという報告をご紹介します。

Progesterone level at oocyte retrieval predicts in vitro fertilization success in a short-antagonist protocol: a prospective study Fertility Sterility 3月号より

よく新鮮胚移植に対して凍結胚の融解胚移植の成績がよいということで、あえて新鮮周期で移植せずに融解周期での移植をしたいという方がいます。
これは、胚に対する凍結と融解の操作が、以前とは比べ物にならないほど確実にかつ胚に影響を与えずに行われるようになったという、技術の進歩に負うところが非常に多いのですが、胚移植全体に対する凍結胚の融解胚移植の割合は、年々増えています。
確かに、慌しく採卵、移植と進むよりも、ひとまず凍結しておき、体調とスケジュールを整えてから移植に臨む方が、精神的にも落ち着いて取り組むことができるというメリットはあります。

ただ、これほど融解胚移植がなされるようになったもうひとつの理由として、採卵周期には卵を育てるための工夫として通常さまざまなホルモン剤の使用がなされており、それが子宮内膜の受容性に悪い影響を及ぼしているのではないかという推測があります。
クロミッドは排卵誘発剤として非常に効果的な薬ですが、子宮内膜を薄くするという有難くない作用があることは有名です。

プロゲステロン(以下Pとします)は着床を助けるために排卵後の空っぽになった卵胞から分泌されるホルモンです。この論文では、周期中に何回かP値を測っていますが、採卵時の値が高いと妊娠判定陰性である割合が高くなるという相関関係があったということです。
なぜP値が上がるのかは不明ですが、新鮮周期で移植する場合の対策としては、antagonistを直前まで使用することでP上昇を防ぐ、day5くらいまで待ってから移植することで早期P上昇によるデメリットをカバーする、などが挙げられていましたが、もっとも効果的と考えられるのは、凍結して別周期に融解胚移植する、ということになります。