精液検査は何回すればいいか

精液検査は何回すればいいか

医師の田口早桐です。

Semen analysis and prediction of natural conception Human Reproduction, Vol.29, No.7pp.1360-1367,2014

精液検査についてです。通常、精液検査の所見が悪くてステップアップが必要だと判断しても、少なくとももう一度検査をして、所見を確認してから、改めてご夫婦と方針についてご相談します。

様々なガイドラインがありますが、精液検査を1回で良しとしているものはありません。ほとんど全てのガイドラインが少なくとも2回以上となっています。WHOのガイドラインも「少なくとも2回以上」になっています。

なぜ精液検査をするかというと、端的に言うと「自然妊娠が可能かどうか」を知るためです。
では、精液検査の数値がその都度変動することを考えると、何回のデータをみて分析すればより確かなのでしょうか。

驚くべきことに、1回のみの検査で自然妊娠の確率は予測でき、2回目のデータを加えたところで、差はなかったということでした。
また、精液検査のパラメーターの中で、唯一精子濃度のみが妊娠率に影響し、運動率、奇形率等は妊娠率予測に影響しなかったという結果になりました。

自然妊娠の確率として、この論文中では、12ヶ月間、つまり一年間に妊娠した確率を出しています。
14%という低い数字ですが、これは対象が全てのカップルというわけでなく、不妊治療を希望しているカップルであるということで納得できます。

さらに、精液検査は複数回行ってデータをとっても自然妊娠の確率予測が正確になるわけではないことは述べた通りですが、精液検査を、Hunault予測モデルと組み合わせると、非常に予測の正確性が上がることが確認されました。
Hunault予測モデルは、女性の年齢、不妊期間、原発性不妊か続発性(妊娠出産歴がある)か、初回精液検査運動率、他の疾患、などのパラメーターから、自然妊娠を待できるのかどうか予測するモデルです。
わざわざ数値化しなくても、不妊治療を行う際に我々の頭の中ではこの辺のパラメーターはしっかり処理されているのですが、非常に重要なデータです。

以上の結果より、精液検査は一回のみで良いようです。
ただ、検査自体はそれほどご本人に負担を強いる検査ではありません。なので、一回の検査では納得できない場合、もう一度検査をしてみるのは、決して悪いことではないとは思いますが、いかがでしょうか。