不育症

不育症

医師の林輝美です。

不育症という言葉が一般に知られるようになったのはここ数年のことです。

「不妊症」が妊娠すること自体が困難な症例であるのに対して、「不育症」は妊娠はするけれど胎児が育たず、流産や早産をくり返して生児が得られない場合をいいます。

この不育症についての正確な統計は長い間報告がありませんでした。
18世紀に在位した英国のアン女王がそうであったといわれています。

昔は多産と思われますが、それでも一定の数があったろうと思われます。

不育症は病態が多様であり、それぞれの病態に対しての治療法も多様であること、ストレスなどの心理的要因や、たまたま胎児染色体異常をくり返しただけの偶発的な症例も含まれることから多くの産婦人科医にとって難解な疾患のひとつでしたが、一昔前の20歳代で結婚することが多かった時代ならいざ知らず晩婚化、高齢出産が叫ばれて久しい現代では不育症は不妊症と並んで目が離せない問題になってきています。

昨年の厚生労働省の研究班の報告では、不育症患者は妊娠経験者の4.2%で発生しており、毎年3万人が発症して今や140万人いると推定できることがわかりました。
不育症の発症頻度や患者数の調査は初めてのことのようです。

2004年には日本産科婦人科学会生殖内分泌小委員会が一定の検査法を提唱しました。
これには検査項目が多いこと(20以上)や十分なエビデンスがない検査も含まれており、各施設によって選択されて行われているのが現状のようです。
まだ研究段階の検査も残っていますが、それでも原因が判明するものに対しては有効な治療法も確立しつつあるので、2回もしくは3回以上続けて流産した経験がおありの方は1度不育症の検査を受けることをお奨めします。
不育症の50~60%が原因不明であるとの報告があります。

たまたまの偶発的な流産にくじけず、次もがんばりましょうと言える為にも、原因の有無の検索は必要といえます。