アメリカ・パームスプリングスの不妊治療クリニック爆発事件について

アメリカ・パームスプリングスの不妊治療クリニック爆発事件について

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2025年5月17日、アメリカ・カリフォルニア州パームスプリングスにある不妊治療施設「American Reproductive Centers(ARC)」の前で、爆発事件が発生しました。この事件により1名が死亡、4名が負傷し、施設周辺に大きな被害が及びました。現在、FBIはこの事件を「意図的なテロ行為」として捜査しています。

私たちオーク会は、生殖医療に携わる医療機関として、このような暴力的行為に深い憤りと悲しみを覚えます。同時に、犠牲者の方々とそのご家族に心より哀悼の意を表します。

FBIは、事件の実行犯として25歳のガイ・エドワード・バートカス容疑者を特定しました。彼は「プロモータリスト(pro-mortalist)」や「アンチ・ネイタリスト(anti-natalist)」を自称し、「人は生まれることに同意していない」「出生は倫理的に誤っている」といった極端な思想を掲げていたと報じられています 。

このような反出生主義は、哲学的には一部で議論されている思想ですが、他者の医療の選択や命を支える営みを暴力で否定する行為は、断じて容認されるものではありません。

幸いにも、爆発があった当時、ARCの施設内には患者さんはおらず、スタッフの人的被害も報告されていません。さらに、院内で保管されていた胚や卵子などの重要な医療資源も無事であったとのことです 。

近年、アメリカでは生殖医療、とくに体外受精(IVF)に対するイデオロギー的対立が強まっています。2024年にアラバマ州最高裁が胚を「子ども」と定義する判決を下して以降、政治的・宗教的な立場から生殖補助医療を否定する動きが一部で活発化しています 。

今回の事件は、そのような思想が現実の暴力となって表出した、非常に痛ましい一例です。

私たちオーク会は、すべての人に「生まれてくる命を迎える自由」があると信じています。子どもを望む方々の願いを支えることは、決して否定されるべきではなく、むしろ尊重されるべき人権の一つです。

こうした事件を受けて、医療機関としても患者様の安全を最優先に考え、必要な防犯体制や連携の強化に取り組んでまいります。また、生殖医療に対する正しい理解を広めることで、偏見や極端な思想に基づく誤解を解消していく努力も、今後一層重要になると考えています。

今回の事件を通じて改めて感じるのは、「命の尊厳」と「生まれることの意味」についての深い問いかけです。私たちは、医療者として、命の始まりを支えるこの仕事に、強い誇りと責任を持っています。

今後も、安心して治療に臨んでいただける環境づくりを一層進め、皆さまの信頼に応えてまいります。


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