胚移植日の黄体ホルモン値と出産率について

胚移植日の黄体ホルモン値と出産率について

Impact of low serum progesterone levels on the day of embyro transfer on pregnancy outome:a prospective cohort study in artificial cycles with vaginal progesterone

Elena Labarta, Human Reproduction 19 December 2020

胚移植日の黄体ホルモン値と出産率について

医師の船曳美也子です。今回はホルモン補充移植周期の出産率と移植時の血中黄体ホルモン値についての論文です。

2017年9月から2018年11月の1205人の移植された方が対象。ホルモン補充は女性ホルモンと1日800mgの黄体ホルモン膣錠を使用しています。内膜は6.5mm以上で決定され、1個か2個の胚盤胞を移植しています。染色体検査をしていない184人と、した自身の胚の308人と検査した提供胚658人について、12週以降まで妊娠継続率と移植直前の血中黄体ホルモン値を分析しています。

結論としては、自身の胚でも提供胚であっても、移植日に血中の黄体ホルモン値が<8.8ng/mlは出産率が有意に低下しました。

30%に当たる、Pが8.8未満の方は12週以降の継続率は有意に低く(36.6%と54.4%)、出産率も有意に低かった(35.5%と52%)。どのグループでもそうでした。重要な関係としては、P値とBMI、体重だけがP<8.8に影響する要素でした。ただ、Pが8.8未満であっても出産児については異常は認めませんでした。

現在の基準治療では、体重で黄体ホルモン補充量を変えることはしていませんし、また一般的な肥満に相当するBMI30以上の方はあまりいらっしゃいません。ただ、特に流産歴のあるかたは、移植周期と同じ状況をつくったときのP値を前もって確認するほうがいいかもしれません。