未成熟卵の体外培養

未成熟卵の体外培養

医師の船曳美也子です。

Chromosome constitution of human embryos generated after in vitro maturation including 3-isobutyl-l methylxanthine in oocyte collection medium

C.Spits Belgium Human Reprodection, Vol.30,No.3 pp.653-663,2015

未成熟卵の体外培養についての論文です。

未成熟卵をIBMX(a phosphodiesterase inhibitor)を用いた培養液で体外培養し成熟した卵子を用いた胚は、体内成熟した卵子を用いた胚より染色体異常が多いのではないかという懸念をしばしば持たれます。

この論文では、実際に用いる予定のない未成熟卵子を同じ精子で顕微授精して良好胚になったものをaCGHして染色体解析したところ、今まで同じ施設で、成熟卵子を用いた胚の解析と比較すると、未成熟卵子を用いた胚も染色体異常の率は変わらなかった、という論文です。

この未成熟卵子はhCG投与せずにとられたもので、当院のレスキューIVMという概念とは異なりますが、形態良好胚でも18個中3個しか染色体正常胚がありませんでした。

胚盤胞ではなく、Day3胚ですからその後の胚の自己修復機構もあるとは思います。が、一般的に体外受精の1個からの出産率は、10~20%(生殖医学会のQ&Aに同様の内容があります)ですから、やはり6個くらい戻さないと出産までいかないのかもしれませんね。
3回くらいもどしてダメだと一瞬くじけそうになることも多いですが、頑張りたいと思います。