子宮内膜着床能についての遺伝子タンパク解析

子宮内膜着床能についての遺伝子タンパク解析

医師の船曳美也子です。

Deciphering the proteomic signature of human endometrial receptivity Tamara Garrido-Gomez, Spain, Human Reproduction, vol.29,No.9 pp. 1957-1967,2014

今年のヨーロッパ生殖医学会で講演のあった、ERA(子宮内膜着床能)検査に関係する論文です。体外受精を1~2回不成功の後、ERA検査して着床力正常と判定された6名と着床力低下と判定された6名について、その内膜にどんな差があるか、遺伝子タンパクレベルで解析しています。

細かい話は省きますが、ERAで正常と判定された子宮内膜、ERAで低下と判定された子宮内膜で、検出される24種類のタンパクをしらべると、二つの異なる経路で差がでました。
1つは、糖の生合成の過程、でもう一つは、核のmRNAsplicingでした。

それぞれ責任タンパクをしらべたところ、1つは、PGRMC1でもう一つはANXA6でした。
ともに、そのタンパクが増えている内膜では、ERA検査では低下とでています。
また、正常の子宮内膜の着床期には、PGRMC1の検出はさがっていました。

つまり、着床期には、PGRMC1とANXA6はさがっているはずなのに、これが高いと着床しにくいというわけです。

わたしが研修医になった20数年前、ルーチンであった検査に子宮内膜日付診があります。
病理判定医による診断が難しいため最近は一般的ではありませんが、今後、子宮内膜日付診にかわる分子生物学的な内膜日付診が一般化するかもしれません。