刺激周期と自然周期の違い

刺激周期と自然周期の違い

医師の田口早桐です。

Gonadotrophin stimulation for in vitro fertilization significantly alters the hormone milieu in follicular fluid: a comparative study between natural cycle IVF and conventional IVFという論文をご紹介します。
(Human Reproduction, Vol.29, No.5pp. 1049-1057, 2014)

連日注射を打って複数の卵を育てる、いわゆる刺激周期での採卵と、自然周期で採卵したときの卵胞液の中のいろいろな物質の濃度を測って違いを検討した論文です。

測定している物質は、AMH, testosterone, estradiol, androstenedion, DHEA, LHです。
血清中の値も測定して、卵胞液中の値が血清の値を反映したものなのかどうかについても調べています。

結果、自然周期で採卵した場合、卵胞液中のAMH, testosterone, estradiol, androstenedionが、刺激周期で得られたものより有意に高いということが分かりました。
それぞれ3倍、3倍、3倍、1.5倍、と圧倒的に高いのです。ちなみにこれらの物質の血清中の値は両群で違いはありません。

実は卵胞液中のAMHが高いと、その卵胞から採れた卵子の着床率がよい、という報告がいくつかなされてきています。このことを考えると、自然周期のほうが卵子の質がよい、ということになるのでしょうか?
そこまでの結論を出すにはまだまだ検証が必要なようです。今後このあたりのメカニズムも解明されていくことと思います。