慢性子宮内膜炎…その13

慢性子宮内膜炎…その13

医局カンファレンスです。

習慣流産は3回以上流産を繰り返し出産に至らない状態です。
以前にわれわれは習慣流産患者全体の9%、原因不明習慣流産に限れば12%に、慢性子宮内膜炎が見つかることを報告しました
(Kitaya K, et al., Fertil Steril. 2011;95:1156-1158)。

今回、この追試結果が報告されました(McQueen DB et al., Fertil Steril. In press)。
2回以上流産を繰り返した患者395名に対して子宮内膜生検を行ったところ、35名(9%)に形質細胞が見つかり、慢性子宮内膜炎と診断されました(注1)。
35名全員に抗生剤を処方し、再び子宮内膜生検を行い、治癒したことを確認したことが書かれています(注2)。
治療を受けた患者の88%が出産した一方で、慢性子宮内膜炎の無い方の74%が出産しています。

反復着床不全の患者の3割以上に慢性子宮内膜炎が見つかることを考えれば少ない数字かもしれませんが、流産を繰り返す一部の女性に、慢性子宮内膜炎がかかわっている可能性があります。
ただ抗生剤で治療した群と治療しなかった群を比べてはいませんので、慢性子宮内膜炎と習慣流産の間に因果関係あり、とまでは断言できません。

現在の診療技術では、習慣流産の約半数は「原因不明」と診断されてしまいます。
前回、田口ドクターが紹介したビタミンD欠乏とともに、慢性子宮内膜炎が原因となっている場合があるかもしれません。
今後われわれも引き続きフォローしていきたいと思います。

慢性子宮内膜炎をもったまま妊娠すると、
妊娠中後期や新生児に影響することも報告され始めています。
(2012-09-27のブログ記事「慢性子宮内膜炎…その8」も参照ください)

慢性子宮内膜炎には、抗生剤がよく効きますので、見つかった場合は治療が望ましいと考えます。

(注1)
古典的方法のみで診断が行われています。過去のブログでも紹介しているCD138を検出する免疫組織化学法は使われていません。

(注2)
患者ごとに使った抗生剤の種類にバラツキがあるようです。35人のうち26人にオフロキサシンとメトロニダゾールの2種類を14日間処方されていますが、9人には、ドキシサイクリン(当院でまず処方するお薬です)、ドキシサイクリンとメトロニダゾール、シプロフロキサシンとメトロニダゾール(ドキシサイクリンが効かない方のための2番目の選択肢として当院で用いています)などが使われています。