不妊症に使用する漢方薬ってどんな薬剤?…その4 加味逍遥散

不妊症に使用する漢方薬ってどんな薬剤?…その4 加味逍遥散

医局カンファレンスです。

不妊治療では、普段の生活でのストレスだけではなく、更なるストレスを抱えてしまうことが多いと思います。
しかし良い結果を得るためには身体的なコントロールにとどまらず精神的に安定することも大切です。

女性にストレスが加わったとき、例えば何かのテストや就職、重要な仕事をこなしているとき、結婚等、ストレスや環境の変化で月経不順になり病院に受診される方がおられます。つまりホルモン状態にもストレスは影響しているということです。

加味逍遥散は血液循環を良くしホルモンバランスを整えさらに精神的にも安定させてくれる漢方薬です。

加味逍遥散に含まれる生薬をみていきます。

柴胡(サイコ)セリ科ミシマサイコの根を乾燥したもの。
ストレスを解消し、自律神経の働きを良くします。
芍薬(シャクヤク)ボタン科シャクヤクの根茎を乾燥したもの。
筋肉の痙攣を和らげ、血管の状態を良くします。
朮(ジュツ)キク科オケラの根茎を乾燥したもの。
体内の水分代謝を調節します。
当帰(トウキ)セリ科トウキ属植物の根を乾燥したもの。
血液の循環を良くします。
茯苓(ブクリョウ)サルノコシカケ科マツホド菌の菌核を乾燥したもの。
利尿作用を高め、体力を増強させます。
山梔子(サンシシ)アカネ科クチナシの成熟果実を乾燥したもの。
炎症を抑え、精神を安定させていきます。
牡丹皮(ボタンピ)ボタン科ボタンの根の皮を乾燥したもの。
血管の熱を冷まして、整えていきます。
甘草(カンゾウ)マメ科カンゾウ属植物の根茎を乾燥したもの。
緊張を緩和させます。
生姜(ショウキョウ)ショウガ科ショウガの根茎を生のまま用いたもの。
体を温め新陳代謝を高めていきます。
薄荷(ハッカ)シソ科ハッカの葉および若枝を乾燥したもの。
炎症を抑え、血管を拡張させ、血流を良くします。 

国内での統計結果として、生児を得た症例に投与していた漢方薬の55%が加味逍遥散であったとの報告があります。

これまでにご紹介した当帰芍薬散、温経湯、桂枝茯苓丸と重なる生薬が使用されており瘀血や瘀血からくる冷えに効果があり、さらに精神的に安定させてくれる漢方薬です。

次回は八味地黄丸についてお話させていただく予定です。