
前回(その1)では、無精子症の基礎知識とTESE(精巣内精子採取術)の種類、手術の実施方法についてお伝えしました。(その2)では、手術で採取された組織から、胚培養士がどのように精子を探すのか、『胚培養士ミズイロ』をもとに解説します。
前回の記事はこちら
→ミズイロと学ぶ!– 第9-12話 無精子症で妊娠へ臨むために(その1)無精子症で妊娠へ臨むために ―TESEの基礎知識―
胚培養士の仕事 -採取した組織から精子を探す-
TESEで採取された精細管は、胚培養士が細かく切り、ディッシュに広げて顕微鏡下で精子を探していきます。
『胚培養士ミズイロ』では、この緊張感あふれる場面がリアルに描かれていますが、実際の現場でも
「どうか1個でも見つかってほしい」
その思いで1つ1つの組織を丁寧に確認しています。無事に精子が見つかれば、顕微授精に進めます。
複数の精子が回収できた場合は、次の治療のために凍結保存することも可能です。
そのために、白くて太い精細管を左右の精巣から慎重に探索します。
また、精巣への負担を考慮し、複数回のTESE実施は推奨されていません。
そのため、一度の手術で可能な限り丁寧に精子を探します。
ただし、ケースによっては2回目のTESEを行うこともあります。その場合は、精細胞を刺激する下垂体ホルモン注射をするなどの準備が必要になります。
【参考記事】
無精子症の治療法「TESE(精巣内精子採取術)」
精子は見つかるのか!?
『胚培養士ミズイロ』の中では、採取された精細管を胚培養士が細かく切り分け、細胞をバラつかせ、ディッシュに広げて、1つ1つの細胞の中から顕微鏡で丁寧に精子を探す様子が描かれています。

その過程で、医師へ
「SCO(Sertoli Cell Only)です」
と伝える場面があります。
SCOとは、セルトリ細胞しか見つからず、精子のもとになる細胞が確認できない状態のこと。
セルトリ細胞は本来、精子が育つための「支え役」ですが、支えられる「精子の元」がいないため、精子がいないことを意味します。
Germ cell ありです!
細胞を見ても「SCOです」の繰り返し。しかし、細胞を見ること10枚目のディッシュで胚培養士は
「Germ cell ありです!精子がいる可能性があります」
と伝えます。
Germ cell とは、生殖細胞のこと。つまり、まだ精子にはなっていないけれど、将来精子になるもとになる細胞が見つかったという意味です。
ここから、さらに胚培養士の腕の見せ所です。
細かくした細胞の中から、精子を探します。
マンガでは、「目標20個!」とベテラン胚培養士たちが手分けをして精子を探し、それはまるで「砂漠の砂粒の中で違う形のものを見つけるようなもの」と表現しています。
どこにあるのか、本当にあるのかもわかりません。一生懸命に探して、見つかったとしても精子の頭が歪な形をしていたり、首が折れ曲がっていたりすることもあります。




次回予告
Micro-TESEを行っても精子が見つからないことがあります。その理由として代表的なものは何でしょうか?
そして、精子が見つかった後はどうなるのか?
次回【その3】では、精子が見つからない原因と、顕微授精へとつながる道のりについてお伝えします。
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第9-12話(その3)へ続く
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