ミズイロと学ぶ― 胚の発育とグレード評価(その1)―

ミズイロと学ぶ― 胚の発育とグレード評価(その1)―

グレードって何?

前回までの記事では、胚がどのように発育していくのかを見てきました。
(※胚の発育については、こちらの記事で詳しく解説しています)
*ミズイロと学ぶ!– 第13話 胚は、どう発育するの?
*タイムラプスインキュベーターとは?培養で「わかること」

では、この「胚の育ち」を、胚培養士たちはどのように見ているのでしょう。
体外受精では、胚移植前に診察の中で、胚盤胞のグレードについて「4ABでした」「3BBでした」といったお話をします。
これは「グレード」と呼ばれる評価で、胚の状態をもとにつけられています。
今回は、このグレード評価に関するお話です。

胚盤胞のグレードは、どう評価するの?

胚盤胞の評価には、「ガードナー(Gardner)分類」が広く用いられています。
この分類では、これまでの発育の経過も踏まえながら、主に以下の3つのポイントをもとに評価します。

● どのくらい膨らんでいるか(発育段階)
● 内部細胞塊(赤ちゃんになる部分)の状態
● 栄養外胚葉(胎盤になる部分)の状態

これらを総合して、胚盤胞のグレードが決まります。

つまりグレードとは、「今この瞬間の見た目から読み取れる情報」を整理したものです。

さらに、タイムラプスインキュベーターを用いた培養では、発育の過程を動画として後から確認できるため、分裂のタイミングや変化も評価の手がかりになります。
たとえば、順調に分裂を重ねて発育してきた胚もあれば、ややゆっくりと時間をかけて発育する胚もあります。
また、「リバース分割(Reverse Cleavage)」といって、通常は細胞数が増えていく過程の中で、分裂した細胞が融合し一時的に細胞数が減る現象が見られることもあります。
その後も発育を続け、胚盤胞に到達するケースもあるため、最終的な形だけでなく、こうした発育の過程も含めて評価することが大切です。

グレードはどう見ればいい?

たとえば、ある胚盤胞が「3BC」と評価されたとします。
このような表記は、発育段階と、それぞれの細胞の状態を組み合わせて表したものです。
詳しい分類については、ガードナー分類の表を参考に確認してみてください。

ガードナー分類

グレードだけで、すべてはわからない

ただし、グレードだけで妊娠するかどうかを判断することはできません。
グレードが良いからといって必ず妊娠につながるわけではなく、逆にグレードが低い胚でも妊娠に至るケースがあります。
それでもグレードが重要視されるのは、発育段階や細胞の状態といった限られた情報の中で、胚の状態を客観的に捉えるための指標になるからです。
実際には、こうしたグレードに加えて、発育のスピードや培養中の変化なども含めて、総合的に胚を評価しています。
グレードからわかること、そして分からないこと。
その違いをどう捉えるかが、胚を評価するうえでとても重要です。
次回は、「グレードではわからないこと」について、さらに詳しく解説していきます。

▶関連:ミズイロと学ぶ ― 胚の発育とグレード評価(その2)―

<<ミズイロと学ぶ! 凍結した胚を目覚めさせる ― 胚の融解とは?(その2)

次回へ続く

【関連リンク】


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