
紡錘体を避けて顕微授精する理由
ICSIは卵子に1個の精子を注入するために、針に精子を吸い上げて卵子の細胞質へ注入します。その後、精子から卵子を活性化する因子が放出され、これが卵子の減数分裂を再開するスイッチにもなるわけです。
このとき、紡錘体を傷つけてしまうと減数分裂再開のスイッチは入っても、染色体がうまく分配できないことや、受精や胚の発育に影響することもあります。
紡錘体は、とても繊細な構造をしています。そのため、傷つけないように避けてICSIを行うことが重要です。
紡錘体は、第一極体の近くにあることが多いので、ICSIをする際に第一極体を12時や6時の方向に置いて3時の方向から針を刺し、精子を注入します。


※動画では、第一極体を12時の方向に置いたICSIの様子をご覧いただけます。
紡錘体は、いつも同じ場所にあるわけではない
多くの卵子は、第一極体の近くに紡錘体があります。
そのため一般的には、顕微鏡で第一極体を確認し、12時または6時の方向に置くことで、紡錘体を避けてICSIをすることができます。
しかし、実際には第一極体から離れた位置に紡錘体がある卵子もあります。
では、どうして位置がズレるのでしょう。その要因として考えられるのは3つです。
(1) 卵子の個体差(卵子ごとの違い)
同じ人から採れた卵子でも、紡錘体の形成される位置には差があります。これは年齢や体質に限らず起こりうることで、「質が悪い」ということではなく、卵子それぞれの個性です。
(2)卵操作の結果(人為的な影響)
採卵後ICSIをする前に卵子の周りに付いている卵丘細胞や顆粒膜細胞を除去が必要ですが、その操作過程で極体が動いてしまう可能性があります。その結果として、紡錘体と極体の位置のズレが生じてしまいます。
(3)採卵後〜ICSIまでの時間経過と環境の影響
紡錘体は、とても繊細で、動きのある構造です。
完成した状態で固定されているわけではなく、卵子の状態や時間の経過、周囲の環境の影響を受けて、位置がわずかに変化することがあります。
そのため、採卵後からICSIまでの時間や、卵子を取り巻く温度などの環境条件によっても、紡錘体の位置が変わる可能性があります。
このようなことから紡錘体の位置が第一極体とはズレている卵子もあります。しかし、これが卵子の異常や問題、質を意味するわけではありません。
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