ミズイロと学ぶ! 胚を凍結する方法と、凍結胚融解移植という選択(その2)

ミズイロと学ぶ! 胚を凍結する方法と、凍結胚融解移植という選択(その2)

胚凍結は、どんな方法で行うの?

オーク会では、超急速ガラス化保存法を用いて胚を凍結しています。
胚をそのまま凍結すると、胚の中にある水分が凍り、細胞内に氷晶ができてしまいます。この氷晶によって細胞が壊れて胚が死んでしまうため、クライオプロテクタント(耐凍剤)を浸透させた後にガラス化液によって脱水し、細胞が収縮します。

1. 胚を約10分、クライオプロテクタント(耐凍剤)に浸透させます。
2. ガラス化液に約1分浸すと、細胞内の水分がガラス化液と入れ替わり、細胞が収縮します。
3. 胚を凍結デバイス(例としてクライオトップやクライオテックなどがあります)に乗せ、液体窒素(-196℃)で凍結します。
4. 凍結デバイスを「ケーン」という金属の器具に固定し、ケーンごと「キャニスター」に入れて液体窒素タンクに収納します。

このようにして、胚は凍結保存されています。
胚を急速に凍らせるのは

  • 凍結時の氷晶形成を防ぐ
  • 胚へのダメージを最小限にする
  • 高い生存率で保存できる

などの理由からです。

引用元:漫画「胚培養士ミズイロ」おかざき真里 小学館 週刊スピリッツ連載 単行本第5巻第26話より

胚を凍結する理由とは?

胚を凍結する理由は、大きく4つあります。

1.多胎妊娠の予防と母体の安全を守るため
胚移植では、原則として1回の移植で戻す胚は1個とされています。
これは、多胎妊娠を防ぎ、妊娠中や出産時のリスクを減らし、安全で安心できる妊娠・出産を目指すためです。
複数の胚が得られた場合は、胚を凍結保存し、1個ずつ移植していきます。

2.卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防
排卵誘発によって卵巣が強く反応すると、OHSSを起こすことがあります。
卵巣が腫れる、血液が濃くなる、腹水がたまるなどの症状がみられ、妊娠が成立すると重症化することもあります。
そのため、OHSSのリスクがある場合には、採卵した周期には胚移植を行わず、胚を凍結して体の回復を待ってから移植します。

3.着床率・妊娠率の向上
着床や妊娠の成立には、
● ホルモン環境
● 子宮内膜の厚さ
● 子宮内フローラ
● 子宮の状態(内膜炎、ポリープなど)
など、さまざまな要素が関係しています。
胚をいったん凍結し、移植前にこれらの条件を整えてから移植することで、着床しやすい環境をつくることができ、その結果、着床率・妊娠率の向上が期待できます。

4.身体的・経済的負担の軽減
複数の胚を凍結しておくことで、妊娠に至らなかった場合、将来、2人目を希望する場合にも、再び採卵を行うことなく、凍結胚を融解して移植することができます。
これにより、身体的な負担だけでなく、治療にかかる経済的な負担を軽減できるというメリットもあります。

このほかにも、仕事や家庭の事情など、おふたりの生活に合わせて移植時期を選べるというメリットもあります。

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