
なぜ胚の「途中経過」が大切なのか―タイムラプス観察の意義―
見た目が同じように評価される胚であっても、受精後からの発育のしかたには違いが見られることがあります。
下の図を見てみましょう。

胚の状態は、ある一瞬だけを見ただけでは判断できないこともあります。
見た目が良く見えても、その前後でゆっくり成長していたり、逆に途中で不自然な変化が起きていたりすることもあります。
タイムラプスインキュベーターでは、「その胚が、どんなふうに育ってきたのか」を振り返ることができるため、より多くの情報をもとに評価が行えます。
さて、そこで今回のミズイロの場面を見てみましょう。

前話で、この患者さんは胚移植から妊娠したものの流産になってしまいます。
医師は、「ほとんどが胎児の染色体異常なのですが、正確なことはわからないこともあるんです」と説明しています。これは、医学的にもその通りなのです。
いくら順調に発育して、評価も高く、良い胚とされても、妊娠が成立して赤ちゃんが産まれてくるかはわからないのです。
そして、悲しみに暮れた患者さんは主人公へ「人殺し!」とつかみかかってしまいます。
その気持ちは、痛いほどわかります。
その後、主人公は時間がある時にタイムラプス画像を見直します。
それがこの場面です。
1年に採卵6回。
1回につき10個。
1個あたり5日分。
のべ300日分のタイムラプス画像を見直しています。
胚がどのように発育したか。
何か問題があったのではないか。
それは、どこなのか。
そこから得られた情報を、次の治療へ、次の胚移植へと活かすことができます。
これができるのがタイムラプスインキュベーターの強みなのです。
体外受精を受けるカップルにとってのタイムラプスインキュベーター
この技術は、「必ず妊娠できるようになる装置」ではありません。
けれど、胚にできるだけ負担をかけず、発育の様子を丁寧に見守ることができます。
治療を受ける中で、「どんな環境で卵が育っているのか」を知ることは、不安を和らげるひとつの助けになるでしょう。
タイムラプスインキュベーターは、胚の発育をより正確に把握できる技術です。
安定した環境で培養しつつ、詳細に観察できるため、体外受精の治療を支える技術の一つとして活用されています。
オーク会では、タイムラプスインキュベーターで培養した胚の動画を患者さまにも見ていただくことができます。オプションでタイムラプスを申し込まれていない患者さまでも、一部をご覧いただくことができます。
ぜひ、預けている胚の成長のようすを見てください。
私たち胚培養士は、ママのお腹へ帰る日まで大切にお預かりしています。
<<ミズイロと学ぶ!– 第14話 タイムラプスインキュベーターとは?培養で「わかること」(その1)
第18話へ続く
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