Oak Journal Review:カルシウムイオノフォアが胚の形態動態に与える影響

Oak Journal Review:カルシウムイオノフォアが胚の形態動態に与える影響

検査部の奥平です。
10月18日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。

今回ご紹介する論文は、

Ionophore application for artificial oocyte activation and its potential effect on morphokinetics: a sibling oocyte study.
Shebl O, Trautner PS, Enengl S, Reiter E, Allerstorfer C, Rechberger T, Oppelt P, Ebner T.
J Assist Reprod Genet. 2021 Oct 13. doi: 10.1007/s10815-021-02338-3.

です。

タイムラプスイメージングによって、卵や胚を24時間継続して観察することが可能となり、胚発育におけるこれまで知られていなかった現象の検出や研究が容易となりました。そして、体外受精技術の新たなプロセスを検証する過程で、タイムラプスシステムはその効果と安全性をサポートするためのツールとなり得ると考えらえています。そのようなプロセスの一つに人為的な卵子の活性化があり、一般的にカルシウムイオノフォアがよく使用されます。

卵子のカルシウムイオノフォア処理は、受精障害(や低受精率)、重度の男性因子不妊、および胚の発育が悪い症例において、それらを改善する可能性があることが報告されています。また、その有効性だけではなく、卵子や胚、胎児への安全性についてもいくつか報告されています。しかし、カルシウムイオノフォアを用いた人為的な卵子の活性化が、胚の形態(発生)動態に及ぼす影響についての知見は少ないです。
そこで本研究では、OPUした卵子を約半数ずつに分け、一方はICSI後にカルシウムイオノフォア処理を行い、もう一方はICSIのみを行い、その後の胚の形態動態についてタイムラプスを用いて評価しています。
詳細は動画をご覧ください。