Oak Journal Review:経腟プロゲステロン投与を必要としない新鮮胚移植

Oak Journal Review:経腟プロゲステロン投与を必要としない新鮮胚移植

こんにちは。検査部の鈴木です。
今回の動画では、7月26日に開催いたしましたOak Journal and Case Reviewより、私が紹介したOak Journal Reviewの内容をお届けします。

紹介した論文は、
The exogenous progesterone-free luteal phase: two pilot randomized controlled trials in IVF patients.
Humaidan P, Alsbjerg B, Elbaek HO, Povlsen BB, Laursen RJ, Jensen MB, et al.
Reprod Biomed Online 2021;42(6):1108–18.
です。

この論文では、プロゲステロンを投与せず、ホルモンの分泌を制御する体内の経路(カスケード)をhCGで刺激することで間接的にプロゲステロンを分泌させて黄体補充する方法をランダム化比較試験で検討しています。

新鮮胚移植では、黄体補充を移植後にすることで移植結果が向上することが知られています。黄体補充には、黄体ホルモンであるプロゲステロンを経腟で投与することが一般的です。しかし一日に複数回の投与が必要なうえ、薬剤が漏れたり、かゆみが出ることがあります。
今回紹介する論文のホルモンカスケードをhCGで刺激する方法の移植結果が、これまでの一般的な新鮮胚移植のプロトコールと比較して少なくとも同程度であれば妊娠結果判定日までに2回hCGを投与するだけで済み、それだけでも患者様にメリットがあります。
この方法のメリットは、実際のところどうだったのでしょうか? 詳しくはこちらの動画でご確認ください。

なお、歴史的には、初期の黄体補充はこのプロトコールと同じhCGを使用する方法がとられていました。しかし採卵周期の合併症であるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクがプロゲステロンを使用する場合に比べて高いことから、現在ではプロゲステロンが黄体補充の主流となっています。
OHSSについては、当院の医師・田口が別の動画(1)で詳しく説明していますので、そちらをご確認ください。

参照
1. 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
https://www.oakclinic-group.com/on-doga/10005.html