胚盤胞移植における移植個数の検討

胚盤胞移植における移植個数の検討

医局カンファレンスです。

今回は胚盤胞移植において、形態良好胚1個移植がいいのか、良好胚と不良胚を1個ずつ移植するほうがいいのかについての比較検討した論文です。前向き研究です。
(Fertility and Sterility 2018 Sep;vol110,No4:p655-660)

胚盤胞移植において、初回採卵での初回新鮮胚盤胞移植(939周期)、初回凍結融解胚盤胞移植(1009周期)で検討。
形態良好胚(AA,AB,BA,BB)、形態不良胚(AC,CA,BC,CB,CC)。5日目胚盤胞が82.1%でしたが、6日目および7日目まで培養したものも含まれています。
①形態良好胚1個 ②形態不良胚1個 ③形態良好胚2個 ④形態良好胚1個と不良胚1個 
⑤形態不良胚2個に分けて検討しています。

①と④では、新鮮でも凍結でも妊娠率に有意差はありませんでしたが、①の方が高い傾向にありました。
反対に多胎率は①と比較して④で有意に高い結果になっていました。
また②は新鮮および凍結双方で、①と比較して有意に生産率は低くなっていました。
③は①と比較して新鮮および凍結双方で妊娠率、多胎率は有意に高くなっていました。
ただし、双方ともに年齢が①と比較し④⑤で有意に高くなっていました。
(①34±4歳、④36±4歳、⑤37±3歳)

(解説)
形態良好胚(AA,AB,BA,BB)であれば、1個移植で十分であること、むしろ形態不良胚を同時に移植することで多胎率が上昇するだけということがいえます。そして私が注目したのが不良胚でも多胎率は高くはなりますが、2個新鮮胚盤胞移植では20%をこえる妊娠率を示しているところです。

また、形態不良胚での融解胚移植の妊娠率を比較すると②17.1%⑤21%で、⑤が高い傾向にありました。
移植を考える時、良好胚なら1個移植、不良胚だけなら多胎のリスクはありますが2個移植、ただし35歳以上なら良好胚と不良胚の2個移植が①と同等と考えていいかと思います。