凍結融解胚移植におけるフェマーラの使用と妊娠率

凍結融解胚移植におけるフェマーラの使用と妊娠率

医局カンファレンスです。

日本におけるデータで、凍結融解胚移植においてフェマーラを使用することで妊娠率が高く、流産率が低かったというものです。(Human Reproduction,Vol32,p1244-1248,2017)

2012年から2013年で110722周期の単一凍結融解胚移植で、フェマーラが2409周期、自然が41470周期、ホルモン補充周期が66843周期でした。

フェマーラを使った周期での臨床的妊娠率、生産率が自然およびホルモン補充周期に対し有意に高く、流産率が有意に低い結果になっていました。また新生児異常の頻度では有意差はありませんでした。

(解説)
患者背景についての記載はありませんでした。
海外では新鮮胚移植が主流ですが、日本では高度な凍結技術の発達やOHSS予防などから、凍結融解胚移植が多く、その妊娠率も高いことが証明されています。

今回、フェマーラを使用しての凍結融解胚移植についてですが、投与方法や投与量などが記載されておらず詳細はわかりません。なぜフェマーラでの妊娠率が高いかについてですが、『フェマーラを投与することにより、顆粒膜細胞におけるアンドロゲンからエストロゲンへの合成を阻害し、血中および卵巣内のエストロゲンを減少させることができる。
そして、低エストロゲンレベルによりエストロゲンレセプターの発現が増加し、エストロゲンに対する感受性を高まる。結果として速やかな子宮内膜増殖や子宮および子宮内膜への血流が良くなることによって、着床に効果的なのではないか』と書かれてありました。

現在、フェマーラは卵巣刺激法の一つで使われています。あまり凍結融解胚移植での使用はしていません。
今後、ホルモン補充周期で妊娠に至らない方や自然周期を希望される方、また多のう胞卵巣症候群や高齢の方で自然周期を希望したいが卵胞発育が自力でしにくい方にも有効な方法かもしれません。