多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とビタミンD

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とビタミンD

培養士の佐治です。

Parameters for calcium metabolism in women with polycystic ovary syndrome who undergo clomiphene citrate stimulation:
a prospective cohort study. European Journal of Endocrinology 2012 166 897-902.

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因で不妊に悩んでいる患者様はたくさんいらっしゃると思います。
PCOSの原因には糖代謝の異常、内分泌異常など諸説ありますが、未だにはっきりとは解明されていません。

上記論文ではPCOSにおいて副甲状腺ホルモン(PTH)などのカルシウム調整に関与する因子がどのように相互に作用しているかを調べています。さらにBMIや年齢との相関も検討しています。

興味深いのは25OHD3(ビタミンD)がPCOS患者に対するクロミフェン刺激周期において、卵胞発育とその後の妊娠率に有意な予測因子になりうるというもの。
ビタミンD欠乏症を伴うPCOS患者にビタミンDを投与すると卵胞発育に改善が見られるという論文もあり、ビタミンDが卵胞発育に重要な役割を果たしていることが予測されます。

当院ではこの点に注目し、ビタミンD濃度を調節している因子が卵胞発育にどのように関与しているかを検討しています。結果はまたブログにて報告させていただきます。