引用元:漫画「胚培養士ミズイロ」おかざき真里 小学館 週刊スピリッツ連載 単行本第一巻第2話より
精子が見つからなかった…、そんなときは?
精液検査で精子が1個も見つからなかったら、それは精子の数がとても少ない人だといえます。
しかし、もう一度、スポイトした精液のなかには精子がいるかもしれません。そのため、精液を新しく1滴取り、再度顕微鏡で観察すると、精子が見つかるケースもあります。また、わずかに存在する精子を見逃さないために、時間をかけてマス目以外の視野すべてを探索することもあります。
段階的な検査でも精子が見つからなかった場合は、日を改めて再検査となります。1滴の精液で、または1回の精液検査で「無精子症ですね!」と判断することはありません。なぜなら、個人でも精液所見はバラツキがあり、検査時の体調や採取方法、検体の状態によって、精子が見つかりにくいこともあるからです。
ですから「精子がとても少ないですね」とか、「見つかりませんでした」と言われても、すぐに悲観しなくて大丈夫です。ただ、1個も見つからなかった場合は、とても少ない傾向であるとは言えるでしょう。
複数回の検査で、正確な診断を
精液量や精子数は、とても変動が大きく、その差が2〜4倍以上になることもあり、検査結果にバラツキも多くなります。検査結果が良くなかった場合、また無精子症の可能性がある場合でも、まずは2〜3回の精液検査を行い、慎重に確認します。
1回ごとの結果から平均値や中央値を精液検査の結果として判断します。
「胚培養士ミズイロ」の第1巻第2話では、1回目の検査で精子がみつかりませんでした。
体外受精では、採卵を行う日には受精のための精子が必要です。1個も見つからなかったら、治療を先に進めることができません。
体外受精を行う上で、精液検査の結果は受精方法に大きく関係します。
卵子に精子をふりかける一般的な体外受精(c-IVF:ふりかけ法)なのか、それとも卵子に1個の精子を注入する顕微授精(ICSI)なのか、大きく方針を決め、採卵日当日の精液検査の結果から最終的に判断をします。
男性不妊の専門的な検査へステップアップ
複数回の検査でも精子が確認できなかった場合、泌尿器科や男性不妊外来でホルモン検査や超音波検査、染色体検査などの追加検査を行います。これらの検査によって、無精子症の「原因」がある程度明らかになり、治療の選択肢が見えてきます。
オーク会では、男性不妊外来があり、泌尿器科の生殖医療専門医の診察、検査を受けていただくことも可能です。
無精子症と聞くと「子どもを持てないのでは?」と不安になる方もいるかもしれませんが、原因によっては治療や採精方法、精子の回収方法によって妊娠を目指すことができます。
もしも「精子がみつかりませんでした」といわれたら、落ち込んだり、取り乱したりすることもあるでしょう。でも、少しずつ落ち着いてきたら、顔をあげてみてください。
そして、パートナーと一緒に専門医の説明を聞きながら、できることから一歩ずつ進めていきましょう。
どうか、一人で抱え込まずにご相談ください。私たちがしっかり支えます。
次回は、「たった10個の精子を探す 」–男性不妊のお話が続きますが、 第3話のお話を解説する予定です。お楽しみに!!
<<ミズイロと学ぶ!‒ 第2話「精子が見つからない!?」無精子症かもしれない…(その1)
第3話へ続く
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