
日本人類遺伝学会の年次学術集会が、先週横浜で開催され、参加してきました。
私が入会した当初と比べると、年々参加者も演題数も増え、学会全体が大きくなっていることを実感します。それだけ遺伝医療への社会的ニーズが高まっているということなのでしょう。
今回、私が特に注目した分野はバイオインフォマティクスです。
バイオインフォマティクスとは、「次世代シーケンサー(NGS)などから得られる膨大な生物学的データを、情報科学・統計学・プログラミングを用いて解析し、意味のある知見を引き出す学問分野」 です。
遺伝子解析では、
①シーケンスデータの品質管理
②リファレンスゲノムへのマッピング
③変異(バリアント)の検出
④臨床的意義の解釈
といった複数の解析ステップが必要になります。普段は「解析された結果」を見ることが多いのですが、その裏側では非常に多くの工程と判断が積み重なっています。
私自身、NGSで解析されたデータを見る機会はあるものの、「この解析を実際に自分で最初からやるとなると、とにかく時間がかかり大変」というのが正直なところです。
そんな中、今回の学会ではバイオインフォマティクス解析のワークショップが開催されており、これはぜひ参加したいと思い受講しました。実際の解析フローを追いながら学ぶ内容で、普段ブラックボックスになりがちな部分を具体的に理解できる、とても貴重な機会でした。
驚いたのは、そのワークショップに業界の大御所の先生方も参加されていたことです。
第一線で活躍されている先生方が、今なお新しい技術や解析手法を学び続けている姿を見て、「この分野は本当に進化が早く、学び続ける姿勢が不可欠なのだ」と改めて感じました。
今後は、解析結果を“読む”だけでなく、その過程を理解した上で解釈し、実臨床にどう生かすかを考えることが、ますます重要になると思います。 今回の学会とワークショップは、その第一歩として非常に有意義な経験でした。
これからもバイオインフォマティクスへの理解を深め、遺伝医療の現場でよりよい判断ができるよう、学びを続けていきたいと思います。