日曜日の午前8時30分、インキュベーターの扉が開けられます。私たちエンブリオロジストが、お預かりしている大事な受精卵を観察するためです。小さなディッシュをインキュベーターから取り出し、卵を冷やさないように37℃に温められた、顕微鏡のステージに置きます。
ディッシュの底の透明な培養液の中に、直径100ミクロンの小さな卵がありました。二日前に採卵されたその卵は、昨日はまだ、一つの細胞でした。今朝は、その一つの細胞が分裂を始め、小さな生命を形づくり始めています。
その姿を、顕微鏡で注意深く観察し、デジタルカメラに記録します。そして、ガラスピペットで、細心の注意を払いながら、明日、子宮に帰っていくはずの卵を、新しい培養液に移しかえます。
「じゃあ、また明日ね」。そっと声をかけて、インキュベーターの扉を閉じます。かわいい卵が、元気に育ってくれる事を祈りながら。
当院の培養室は、年中無休、24時間、ノンストップで動きつづけています。 |