不妊診療技術最前線ルポ

前編「胚培養士に聞く、体外受精、顕微授精」

 

今回お話を伺った胚培養士、天野奈美子

胚培養士 天野奈美子

体外受精や顕微授精などの生殖医療に欠かせない存在の胚培養士。不妊治療の成功の鍵は胚培養士の腕にかかっているとも言われる程、大事な存在でもあるのです。しかし、治療するうえで患者様が直接、胚培養士の仕事を目にする機会、触れる機会はありません。そこで、今回はオーク住吉産婦人科のキャリア15年になるベテラン胚培養士の天野奈美子氏の話を通し、胚培養士の仕事に迫ってみたいと思います。


 

胚培養士とは

体外受精や顕微授精のために採取した患者様の卵子、精子をお預かりし、受精させて培養し、移植・凍結まで管理するのが胚培養士の仕事です。不妊治療の技術の高度化に伴い専門職として確立されました。

 

胚培養士になるためには

臨床検査技師や看護師、薬剤師をしていた方がクリニックで技術を習得し、胚培養士になることが多いです。また、生殖補助医療が普及するにつれて、最初から胚培養士を目指す方々も増えてきました。農学系の大学などで専門的な技術を学び、クリニックに就職して胚培養士を目指すというパターンです。さらに、胚培養士を専門に養成する機関もできています。いずれにしろ、不妊治療を行っている施設に就職し、実務経験を積んだうえで資格試験を受けるケースが多いと思います。

 

 

高度な専門知識が必要とされる認定資格

胚培養士は国家資格ではありませんが、任意で日本卵子学会と日本臨床エンブリオロジストが主催する認定資格を取ることができます。当院では、日本卵子学会の認定資格を必ず取得するようにしています。
認定資格を取るためには、日本産科婦人科学会の認可を受けた施設で実務経験を積み、卵子学会が定めた学会に参加し、講習会を受けることが必須となっており、さらに、筆記試験と面接(口答試験)に合格しなければなりません。

 

 

治療に携わるまでには、約1年半~2年間のトレーニングが必要

培養室に配属されてすぐに胚培養士として患者様の治療に携われるわけではありません。個人差はありますが、約1年半~2年間のトレーニングが必要とされます。トレーニングには、患者様の卵子や精子のうち不要になったものを、ご同意を頂いたうえで使用させて頂き、後進の育成に努めています。また、当院ではエデュケーションセンターを設けており、実際の業務に使用するのと同じ機材を練習専用に設置しています。本物の配偶子や本番で使用する機器を用いてトレ-ニングを行い、一定の基準を満たした胚培養士のみが患者様の治療に携われるシステムを取っております。従って当院では胚培養士の技術の個人差は見られません。
さらに、研修や学会、業者からの情報提供などを必要に応じて取り入れ、日進月歩する生殖医療業界の知識を常日頃から取り入れるように心がけております。

 

 

胚培養士と培養室の能力

リプロダクションセンター

胚培養士にとって知識だけでなくテクニックも重要ですが、テクニックの向上・維持には扱う症例数の影響が大きいです。また、培養室全体の能力はマンパワーに左右されます。
配偶子を取り扱う際のダブルチェック・トリプルチェックなど基礎的なことから、受精や培養の手技に関することまで、毎日多くの症例を複数の培養士が分担してこなすことにより、胚培養士個人の技術を高め、業務の連携を良くして、胚や卵子、精子に負担をかけない安全な培養環境を作ることができると考えています。

 

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